1.ここに至るまでの経緯(新商品開発への取り組み)

松浦市は、青い海と緑豊かな自然環境にあり、豊富な農水産品を有している。特に果実では、「松浦アールスメロン」「御厨ぶどう」それと「松浦マーコット」が高級果実として大都市へ出荷されている。 

そこで、もともと「松浦市の顔」といえるお菓子が少なかったこともあり、松浦市の代表果実で「マーコット」を素材に、市内菓子職人6名と生産者(マーコット部会)、農協、行政、そして商工会議所の力を結集し、平成21年より県の補助事業(長崎県地域商工業新展開支援事業)を活用し、「松浦市の香りあふれるお菓子作り」の研究に取り組み始めました。

各店舗から「マーコット」のほか「御厨ぶどう」、「お茶」、「ブルーベリー」など様々な地元農産物を素材としたお菓子を幾度と無く試作し、イベント会場での市民アンケート等を通じ、洋菓子「マーコットチーズタルト」、和菓子「爽やかマーコット最中」が昨年完成しました。

また、平成22年度からは、本格的な販売に向けてブランドネームやキャラクター作成など市民の方から親しんでいただくための準備を行ってきたほか、スイーツの種類も各店舗のオリジナリティあふれるお菓子が多数完成いたしました。

是非、このお菓子を通し、「松浦の香り」を楽しんでいただきたいと思っています。

2.マーコットのご紹介

【マーコットって何?】

みかんにオレンジを交配したものをタンゴールと言います。そのタンゴールの中でも、最高傑作といわれるのがマーコットです。

マーコットは大きさや形は温州ミカンに似ていますが、皮がとても薄くて色は赤みがかっています。果重は150グラム前後で、他のかんきつ類には見られない抜群な高い糖度とそれに見合う酸味、。それを目覚めさせる程よい苦味とそのすべてを包み込んだ皮の香りが高い人気を誇っています。

【松浦市に導入された経緯】

昭和58年に松浦市のみかん農家は施設みかんへと転換が進んでおり、温州みかんの次の世代のみかんを栽培するため、新しい品種を探していました。

そのような時、志佐町池成地区の7名のみかん農家の有志が、全国でも栽培が少ないマーコットの生産に取り組むことになりました。

【松浦市のマーコット生産】

日本では、マーコットを露地栽培するには気温が低すぎるため、ビニールハウス栽培で作られてきています。

特に松浦市のマーコットは、糖度を高めるため水を与えることを抑えるとともに、雨風から果実を守るため、また室温を一定に保つために1年中ビニールハウスの中で栽培されています。

栽培条件の最低気温は7度~10度ですが、大玉で糖度が高い果実を得るためには、加温が欠かせません。

また、完熟堆肥を10アール当たり年間2トン施肥するとともに、灌水管理も発芽から開花、結実、完着まで細心の注意を持って栽培されています。

手間暇かけて1月中旬までに収穫されたマーコットは、酸度を調整するため約1か月間冷蔵庫で追熟された後、「高級果実」として市場に出荷されます。